ありがとうの代わりに"グロリアスシュワルツ"って言わせて

バーチャル蠱毒・第二幕反省会 ~ソシャゲとしてのSHOWROOMを改めて考える~

はじめに

この記事は先日書いた以下の記事を踏まえた内容となっていますので、まずはこちらをお読みください。

というか、本当はこの記事自体もうちょっと早めに書きたかったところでしたが、私がグズグズしている間にいい感じのnote記事とTogetterまとめが出来ていたので、その後の経緯自体についてはそちらを読まれることを推奨いたします。

掻い摘んで言うとハイライトとしては

  • 石油王は強い…まだ勝てない…
  • 審査員特別賞(ボーカルトレーニング権)おめでとう!
  • そして、ありがとう木村牡丹…!

の3点です。わけわからんという方は繰り返しになりますが上記の関連記事を読んでくださいね。

さて、今回、このイベントや周辺の出来事を追っていた中で、いくつか再認識も含めて分かったことや、逆にモヤモヤが浮き彫りになったところがいくつかあるので、まとまりきっていない部分も多いですがその辺を書き出していければと思います。随時追記・整理予定です。

SHOWROOMにおける無課金ユーザの重要性

まず一つ目、私もすっかり信じていたのですが、SHOWROOMにおいて「1日の課金制限は30万円」という説が流れていた中、今回のイベントでは24日~26日の3日間、1日あたり100万ポイントが1アカウントから吉七味。へと投下される、という状況が続く事態となり、この説は完全に否定されることとなったということです。「12分あたり20万円課金」というのが、今回のポイントの動きと照らし合わせてみてもより妥当な課金上限額の説のようなので、1時間あたり100万ポイント(高額課金アイテムに付与されるボーナスを含めると120万ポイント)というのが、一個の課金兵器が持つ戦闘力の目安と見て良いでしょう。

そして二つ目、とかくこういうポイントで競い合うサイトにおいては指して札束の殴り合いといった揶揄が多く見られますが、SHOWROOMにおいては、無課金ユーザがランキング勝負に貢献できる要素が他のライブプラットフォームに比べると多いということです。これは、SHOWROOMにおけるポイントは、単純に配信者への投げ銭という意味合いだけではなく、イベント報酬という配信者への特典に強く結びついたものとなっており、その特典を得るには、星投げやカウントといった時間リソースを費してくれる視聴者の多さ自体も、投げ銭と並んで重要な要素として捉えられているためと推測できます。一方で、12/17~12/23にバーチャルライバー専用プラットフォームであるIRIAMにて開催されたサイネージ広告枠決定戦イベントでは、純粋に投げ銭額によってランキングが決定されているようです。

さて、SHOWROOMは、作りとしてソーシャルゲーム的な部分を意識しているサイトであるということは、社長のインタビュー記事や、実際に利用していても伺える部分は多いかと思います。

私はソーシャルゲームについてそんなに何十本もプレイしている訳ではないので的外れになっているかもしれませんが、国産のソーシャルゲームにおいては特に、「金を積みさえすればその時点で勝てる」というのは2018年現在においては主流では無く、プレイヤースキルはもちろん、時間リソースの投入をある程度行わないと勝てないゲームというのが人気の中心にあると言えるのではないか、と思っています。これには、手間を掛けたものをより尊ぶという心理が働きやすいということもあると思います(それが良い風習であるとは一概に言えませんが…)。

そして、SHOWROOMソーシャルゲームとして見た時、無課金ユーザの存在が、ゲームにおける時間リソースの負担という要素を大きく担っているところになるのではないかと私は勝手に思っています。

ここで気になってくるのは、課金者も無課金者もランキングに貢献できるSHOWROOMというプラットフォームにおいて、「1人の超重課金ユーザを持つ配信者がいる時、それに対抗する配信者は、どれだけの数の無~微課金ユーザを持つ必要があるのか?」というところです。

12/31現在、九条林檎のSHOWROOMのルームフォロワー数は約2700名強SHOWROOMのバーチャル枠の中において、トップを走る東雲めぐ約12600名強と比べるとまだ約4.5倍の差をつけられてはいるものの、それでも2番手に位置すると言っていいポジションをルーム開設1ヶ月ほどで確保しています。であるにもかかわらず、今回の九条林檎が持ちえた戦闘力では、一個の超重課金兵器に対抗するには及ばないものだった、というのは妥当だったのか、というところになります。

ここで注目したいのは、同時接続数という、Youtubeなどで重視されやすいファクターです。ただしSHOWROOMの配信では基本的にのべ訪問者数しか分からず、その訪問数も他ルーム視聴者の星集め行為によって実態よりも多く表示されやすい状況となりがちなので、同時接続数については以下の外部サイトの数値がよく引き合いに出されています(サイト上では同時接続数と謳っているようには見えないので、本当にそのように取り扱ってよいのか?とは個人的には疑問に思っていますが…)。以後、同時接続数とはこのサイトのランキングポイント値を示すものとします。

今回のイベント期間における九条林檎の同時接続数は、配信内での言及があった最大の値で800前後だったと記憶しています。これは、VTuberの同時接続数として考えるとまだまだ物足りないものとなるのではないでしょうか。ちなみにSHOWROOMで恒常的に配信を行っているAKBグループメンバーは、同時間帯において各々が2~3000ほどの同時接続数を記録しているという状況です。

カウント・星投げ1周くらいが、カジュアル層の無課金視聴者ができる現実的な貢献内容であるだろうことを考えると、これらの母数となる同時接続数をAKBクラスに伸ばしていくということが、九条林檎陣営の今後の課題となっていくのではないかと勝手に分析するところです。

重課金」をコンテンツ化するための「共感」の重要性

前回の記事を書いた時点で、実は「九条林檎が数の暴力を見せることによって、判官贔屓的に吉七味。のファン数も増えていく」という現象が起きるのではないかということも少し期待していました。かつて彼女がNo.5としてバーチャル蠱毒を席巻していた時代にあって、他の九条林檎とも積極的に交流を行い、それが「九条家の食卓」と呼ばれる強固な絆とエモを生む場を作り上げたように。しかし、今回はそのような形にはならなかったように感じられます。そこにも、吉七味。が持つ超重課金リスナーという要素が大きく影響していたのではないかと思います。

私自身吉七味。の配信については一部しか見ることができていませんが、彼女の配信において重課金はあまりに日常の出来事となっており、それが行われてもあくまで配信は淡々と進行していくように感じられました。私の主観ではありますが、そこには共感がありませんでした。

先日公開になった映画「ニセコイ」にエキストラ出演していたことでも話題になった「千葉県のYさん」は、世間的に注目されやすい少年ジャンプ作品というコンテンツにおいて目立つ投票行動を繰り返し行い続ける姿に、他のファンのみならず作者などの作品関係者の共感を覚え、自身も作品に付随するコンテンツとして受け入れられるようになったと言えるでしょう。

バーチャル蠱毒においても、ユイナナ(千代家ぷりり)を表舞台に押し上げるきっかけとなったやまいけ氏の課金行動はエポックメイキングであり、大いに物語性のあるものでしたが、これにはユイナナ自身が確かに面白い奴であり、そいつを予選で消させる訳にはいかないという動機に他のユーザも共感を覚えたという部分も大きいと考えられます。

一方で吉七味。やその関係者の動きは、言わば「敵対勢力」である我々の視点でしか語られることがなく、共感を生み、よりファンを増やすといった動きにはなっていなかったと感じられます。彼女たちの目的や勝利条件も同様に語られることはなく、それがどこにあるかというのは私には分かりません。おそらくは、彼女のプロデューサーとされる方の言葉の通り、生きている世界が違いすぎるのでしょう。ですが、だとすると、少なくともSHOWROOMという、社長が「共感」を重視している環境においては、今後険しい道が待っているのではないか、という余計な心配をどうしてもしてしまうのです。

けものフレンズ2」オーディションと、野次馬ファンの取り込み(wip)

さて、ここからは若干話題が逸れますが、SHOWROOMといえば、「けものフレンズ2」に出演する声優のオーディションが開催されることでも最近少し話題になりました。

これを「バ蠱毒で味をしめたのか」「フレンズ蠱毒…」のように揶揄する発言も一部で見掛けられましたが、実はけもフレにおいては、1作目の時も全く同じ形式でのオーディションをSHOWROOMで行っていたということをご存知でしょうか?私も知りませんでした

このオーディションでカピバラ役を勝ち取ったのが杉村ちか子さん、ということになります。
SHOWROOMが通常開催しているイベントは、すでに配信者についているファンがどれだけポイントを伸ばせるか、という観点で見られることが多いと思います。そしてけもフレ1のオーディションが開催された期間は、まだ作品自体がバズる前と言ってよく、またオーディションの存在自体も、作品がバズった後ですらそれほど知られることはありませんでした。しかし、今現在けものフレンズという作品や、SHOWROOMのオーディションイベントという形式は良くも悪くも注目を集めている状況であり、野次馬的な視聴者が興味本位で色々なルームの配信を覗きに来る、といったことが通常のオーディションよりも多く発生することが予想されます。勝手な考えですが、もし元バ蠱毒参加者がこのオーディションに参加するということになると、さらにその傾向は増すんじゃないかとも考えています。

バーチャル蠱毒は、全ての参加者の元々のファンが全くのゼロである状態から始まっており、その中で強さを発揮したのは、SHOWROOMのゲームシステムをよく理解し、視聴者にもそれを共有させることができた候補者であったと思っています。けもフレ2オーディション参加者におかれましては、ぜひバ蠱毒の戦いの軌跡を参考に、オーディションを戦い抜いていただければと思っております。

「野次馬に優しいサイト」に向けたSHOWROOMへの要望(wip)

蠱毒でついたファンというのは、何かしらの戦いをどこかで期待している部分があるのではないかと思います。SHOWROOMの売りというのは様々なイベントが常時開催されていることだと思いますので、そこに発生する様々な数字を見てなんやかんや騒いだり考察したりしたいというのはスポーツしかりよくあることだと思います。ただ、現状のSHOWROOMのサイトの作りだと、なかなかそういった見方をするのが難しいというのも実情です。そのため、ランキングポイントを定期的に取得してグラフ化してみたりとかしていますが、もうちょっと俯瞰的に見易いサイトになって欲しいなあというのが正直なところではあります。

  • 「バーチャル枠のルーム一覧」みたいなことができない
  • イベント検索がない

特定の配信者だけを追って、新規配信者の開拓は星集め時に行う(おそらく現状はそういうユーザが多い)といったスタイルであればあまり問題はないんですけどね…。