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バーチャル蠱毒・第二幕 ~九条林檎と七つの味~

バーチャル蠱毒が話題になってから1ヶ月が経過しました。当時のバズった記事だけを目にし、その後を知らない方も多いでしょう。顛末については以下の記事などを読むと良いと思います。今回の話に関係しているのは、「あの時話題になっていた九条林檎 No.5は勝利し、TWINPLANET所属のバーチャルタレントとしての活動を開始している」ということだけです。

さて、ここで一旦話は変わりますが、2019年4月からアニメが放送される「賢者の孫」という作品があります。「またオレ何かやっちゃいました?」の元ネタとして知られる、いわゆるなろう作品です。

このアニメのED歌唱者について、10月にSHOWROOMでオーディションイベントが行われ、「吉七味。(よし ななみ)」という名のバーチャルタレントがその役を射止めることとなりました。

皆さんはこの吉七味。についてご存じでしょうか。Twitterにて本人やSHOWROOMアプリからのツイートを除いて検索しても、「賢者の孫」オーディションに関する記事、生放送出演に関する数件以外の言及が現時点においてもほぼ存在しない、彼女のことを。

賢者の孫」オーディション最終予選のイベント結果はこのようになっています。

ランキング上位には、雛乃木まやゆめ心中東雲めぐがんばるぅ子、といった、(SHOWROOM内においては)活動実績や知名度も十分と言ってよいVの者達が名を連ねていますが、吉七味。はその中でランキングポイント3位に食い込み、面接による最終審査を経て勝利を勝ち取っています。ここで、それぞれが獲得したランキングポイントの詳細が記された「貢献ランキング」を見てみると、興味深い数字が浮かび上がってきます。 

順位 名前 貢献ランキング内
合算ポイント
貢献1位
ポイント
貢献100位
ポイント
1  雛乃木まや  2,870,383  310,489  2,265
2  ゆめ心中  2,694,178  190,710  1,268
3  吉七味。  2,357,243  2,117,326  32
4  東雲めぐ  2,023,553  391,635  2,660
5  がんばるぅ子  1,682,926  217,190  721

 SHOWROOMにおけるランキングポイントは視聴者(貢献者)による「星投げ」「カウント」、そして「課金ギフト」によって加算されていきます。

星投げ」を行うには他の配信を巡回する必要があるため、そこそこの手間や慣れが必要ですが、「1周」と呼ばれる単位の作業をこなすことで約600ポイントを獲得できます。60分の配信枠であれば、事前の調整次第で「3周」することも可能です。

一方、「カウント」とは、配信内で単に1~50までの数字をコメントすることを指し、これだけでも合計50ポイントを獲得することができます。

上記の表をご覧頂くと、星投げやカウントを1回でも完遂する視聴者を、吉七味。は100人も持っていないということが分かるかと思います。そして注目すべきは、貢献1位の、星投げやカウントでは到底実現できない程の突出したポイント数。つまり、吉七味。の上位ランクインは、ほぼ一人の重課金によって成し遂げられているということを意味しています。

もちろん、課金ギフトという手段が用意されている以上、それを最大限利用して勝ち上がることに関して非難される謂れは決して無いですし、筆者自身にもそのような考えは全くありません。それもSHOWROOMという場においては正しい戦い方の一つであるからです。悪いとするならばSHOWROOMの存在そのものでしょう。

そして、ここで九条林檎に話を戻します。彼女がバーチャルタレントとして活動を開始してから初めて参加するSHOWROOMイベントが、作詞家・作曲家・ボーカルプロデューサーである岡嶋かな多による楽曲提供やボーカルトレーニングを受ける権利を勝ち取るためのオーディションです。その参加者には、かの吉七味。もまた、名を連ねています。

九条林檎のバーチャル蠱毒における戦い方、それは多数の「ディナー(リスナー)」を従えた星投げとカウントによる「数の暴力」でした。しかしそれは、賢者の孫オーディションにおける(吉七味。を除いた)ランキング上位者と同じ性質のものであるとも言えます。

そしてバーチャル蠱毒の中において、九条林檎の枠はNo.5、つまり今存在している彼女の独壇場となっており、結目ユイ(前回の記事で取り上げたユイーンことNo.12は敗れ、ボスことNo.10がその座を手にしました)や白乃クロミ枠ほどの熾烈な戦いとはなりませんでした。蠱毒の中に生まれいで、その名を世に知らしめし怪異は、初めて挑む外の世界においてもその力を見せつけることができるのか。あるいは大いに打ち破られ、「ニッポンの蠱毒、低レベルデース!」となってしまうのか。その戦いは、すでに始まっているのです。

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これが、今回のイベントのポイント推移グラフです。バーチャル蠱毒の時はExcelシートをOneDriveに置いていましたが、より利便性を高めるためにGoogleサイトを利用して集計データを公開する形にしました。それはともかく、今回のイベントにて、12/22 9:47現在における上位は、トップのピンク色が吉七味。、続く緑色が九条林檎、その差はおよそ25万ポイントとなっています。九条林檎側は12/20 21:00頃、吉七味。側は12/22 0:00頃にそれぞれ50万ポイントを一気に稼いでいますが、その手段は異なります。もちろん九条林檎側にも1万円単位での課金者は存在していますが、統率された兵(ディナーども)による星投げやカウントが彼女のメインウェポンとなっています。それに対して吉七味。は文字通り一騎当千たる個の武(唯一人による重課金)によってそれをいなしている状況です。

なお、いかに悪辣なSHOWROOMとはいえ、一人あたりの一日の課金額には30万円という上限が掛けられているようです*1。つまり、九条林檎が確実に1位で勝ち上がるには、最終日の時点で少なくとも30万ポイント以上相手を引き離している必要があります。もちろん、吉七味陣営がこの戦いの中で新たな戦い方を取り入れることがなく、あるいは彼女のもとに現れる重課金者がこのまま一人だけであれば、ではありますが。戦況を変えるのは、これを読んでいるあなたかもしれないのです。ぜひこの戦いの行く末を見届けてはみませんか。

ちなみに、バ蠱毒期間内においてはバーチャルラジオ配信者に過ぎなかった九条林檎達AVATER2.0メンバーは、12/21にVRoidによる受肉を果たしており、早速配信でもそれを採用しております。おめでとうございます。

12/24 追記・「ニッポンの蠱毒……低レベルデース!!」

とにもかくにもこちらをご覧ください。

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それは戦い方を一切変えることなく、しかしながらこの時点で120万ポイント差がついています。課金制限についても、思っていたよりは緩かったのも誤算ではありました。もはやそれは何者なのか?どこからその資金が出ているのか?などを問うている場合ではないでしょう。九条林檎は、そういった存在に今戦いを挑んでいるのだという厳然とした事実があるのみです。

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*1:額は正確でない可能性がありますが、時間単位で何らかの課金制限が掛けられていることは確かとのこと